ヤン・リギンズは鉛筆や絵筆、パステルクレヨンを使った絵を得意としているが、そう、歩道用チョークも例外ではない。その上、ヤンに似たのか、13歳になる娘オリビアにも絵心があった。この母娘は自分達が住むテキサス州フォートワースで開催されるチョークアート大会の常連だ。
2020年の春、世界に蔓延する感染症のせいで、フォートワースでできることが少なかったヤンとオリビアは、歩道に自分達の作品を描くことで近隣住民を元気づけようと考えた。
すべての始まり
ご紹介しよう。オリビアと母親のヤンだ。2人が近隣地域を明るく楽しくしようとプロジェクトを始めたのはおよそ5年ほど前のことだ。ヤンはフェイスブックでチョークアートの大会が開催されることを知ると、参加しようと決意する。
最初のコンテスト
コンテストについて尋ねられたヤンは「参加費がかからないアマチュア部門があったので、それに参加しました。そこで、プロのチョークアーティストに出会いました。チョークアートにハマると抜けられなくなるよって言われましたけど、本当にその通りです!」と答えている。
圧倒的な優勝!
結果、ヤンはそのアマチュア部門で優勝する。描かれた絵を見ても納得だ。ヤンはこう語っている。「アマチュア部門で優勝した後、プロ部門に招待されました。去年は3つのコンテストに参加しました。今年は6つに参加することを目標にしています。3月にも出場を予定しています。」
自分で楽しむために描く
2020年の春、すべてのコンテストやフェスティバルがコロナ禍で中止になり始めたとき、ヤンは自分が楽しむためにチョークアート作品を作ることにした。自宅前のドライブウェイ(私有車道)と歩道をキャンバスに見立てたのだ。
オリビアも手伝うようになる
ヤンは小さな絵を2つチョークで描くと、その日はそれで切り上げることにした。ヤンが描いた絵は完成していたのだが、オリビアが来て、手伝いたいと言ったのだ。
新人アーティストの誕生
ヤンは当時についてこう説明している。「その絵を描き終わった時点ですでにくたびれていたんですが、オリビアは自分が好きなモチーフと、それを描くのに必要なものをすでに外に準備していたんです。なので私が下描きをして、その上をオリビアがチョークで半分なぞりました。半分くらい残っていたのを私が終えました。それからというもの、オリビアは私みたいにチョークアートにハマっていったんです。」
母娘の共同作品
この歩道に描いたチョークアートは、正に共同作品だと言える。ヤンは「私はリモートワークで、家で仕事をしていたんですが、娘はその間何時間か外に出て、自分でどんな絵を描くか決めてからチョークで輪郭を描く作業を始めていました。娘が作品を仕上げるのを私が手伝ったものもあります。」と答えている。
半分ずつ
まずヤンがスケッチをして、チョークで描いていく。その後、ヤンとオリビアは半分ずつに分けて、それぞれ自分の分を完成させていく。
ソロ作品の蝶
ヤンとオリビアはほとんどの絵を一緒に描いて仕上げているが、この蝶はヤンが1人で作り上げている。この絵をインスタグラムに投稿し、こう説明文をつけている。「今日は1人で作品を作りました。パートナーがいなくて寂しかったですが、地元の教会の写真撮影のためにこの作品を仕上げるのはとても楽しかったです。翼とか羽があるものは大好き!」
近隣住民からも好評
現在、オリビアとヤンはリクエストを受けつけている。ヤンは「時々、今は外の歩道に何が描いてありますか?っていうメッセージを受け取ることもあります。新しい絵ができているのなら見に来ようと思っているからって。しかも、宅配便の人まで家の前を通って写真を撮ったり、新しい絵が描いてあるかどうか見るのが楽しみって言ってくれるんです。」と言う。
絵の代金は笑顔で!
ヤンの近所の人の中には、素敵な絵を描いてくれたからと、代金を支払おうとする人もいたが、ヤンは決して受け取らなかった。ただ、近所を明るくしたい気持ちだけでやっているからだ。近所の人たちが喜んでくれるだけで、ヤンには十分だった。
今後の見通し
ヤンとオリビアのチョークアートは、世界中で起こっている感染症において、たとえ一時的にでも近所を明るく、人を笑顔にしようと始めたことだったが、たとえこの世界的パンデミックが終息したからといってチョークアートを終える必要はなさそうだ。世の中が落ち着いて、人々が不安から解放された後にも、チョークアートを楽しむ人は多いのだから。
塗料を使うこともある
ヤンとオリビアは、歩道に作品を作るのに様々な素材を使っている。ヤンはこの写真を投稿し、「そろそろ本格的な作品に取りかかる頃だと思って、アナモフィックなものを作りました。去年作ったのを一部に使っているので、少しズルをしているような気もしますが…。黒いテンペラ絵の具をはじめに使うことで、かなり早く仕上げることができました。」とコメントしている。
特別な日などに
ヤンは「私達は今後も続けていきたいと思っています。おそらく、パンデミックが終わったら、今ほど頻繁にはできないとは思いますが。でも、祝日とか、特別な日とかに合わせてやろうと思っています。」と語っている。
一緒に作品を作れたことこそ、最高の贈り物!
ヤンは多くの作品を生み出せたことを嬉しく思っているが、何より、娘と一緒に作品を作れたのが嬉しいと語っている。
誕生日のための特別な絵
ヤンとオリビアはこの絵をSNSに投稿し、「今日は近所の人の誕生日でした。なので、仕事後に寄って、ちょっとしたプレゼントを残してきました。寒い日でしたし、難しいことはできませんでしたが。私達の近所の人達って最高なんです!」と説明書きをつけている。
愛を広める
ヤンは自分達の家の前の通り全体に絵を描いた後、義理の母親の住む家の前の通りに移動した。ヤンとオリビアは、おばあちゃん(ヤンの義理の母)が大好きな動物、ゾウの絵をおばあちゃんのために残している。
マナティーのヒュー
ヤンとオリビアは、マナティーのヒュー(ヤンの夫が名付けた)の絵を共に仕上げた。ヤンは「マナティーを描くのは思った以上に難しかったですが、これで海の中の生き物4匹を歩道に描くことができました。今日はとっても暖かい日でした。母なる自然に感謝!」と述べている。
世界全体
この立体的な地球は素晴らしい出来だ!地球の下に映る青い影も美しい。ヤンとオリビアは、地球の日を記念してこの作品を仕上げている。少し遅れてしまったけれど、地球の日、おめでとう!
きれいなパステル
ヤンは作品を作るのに使う素材について説明している。このコントローラーは、ヤンが自身のおばあさんから受け継いだパステルを使っている。「おばあちゃんからもらったパステルは何年間も箱の中に入ったままでした。これを使った作品を近所の人に見せることができて、すごく嬉しいです。」
海の中
ヤンとオリビアは、チョークやパステルを使って海の生物を描くのを楽しんでいる。このウミガメは、ヤンとオリビアが描き上げた海の生物シリーズの最後のモチーフだ。完成までに2時間半かかっている。
さよなら
ウミガメを描いた後、もう1匹分のスペースが残っていた。そのため、ヤンとオリビアは、この可愛いアザラシの子どもを描くことにした。この小さなアザラシの子は海の生物らにバイバイと手を振っている。
ハッピーイースター!
2020年、イースターをどうやって祝ったらいいか分からないという人も多かっただろう。こんなのはどうだろう?ヤンはこの写真に説明文をつけて投稿している。「1日仕事を休みました。外はとっても気持ちのいい天気でしたし、近所の人達にも楽しんでもらおうと、イースターには少し早かったのですが、この絵を描きました。」
エッグ・スプーンレース
コロナ禍で実際に外に出てエッグ・スプーンレースをすることができなかったとしても、この絵を楽しむことはできる。この絵のスプーンは、まるで本当に浮いているかのようだ!
他の生物も
2人の作品は素晴らしくて、いつまで見ていても飽きないほどだ。鯉のオレンジ色も綺麗なアクセントになっている。ヤンはこの写真の投稿に「家の前で数時間使って、チョークアート大会にいると想定して描いてみました。本当の大会ほどではありませんが、それでもとっても楽しかったです。」とコメントしている。
ブンブン飛ぶハチ
このハチは、ヤンのインスタグラムで紹介された作品の中でも最も手の込んだ絵だ。ヤンもこの出来栄えに満足しているようだ。この写真の説明文には「この小さなハチをどうやって描こうかと数日間考えていました。この細く細かい毛をうまく表現できるよう、新しいパステルを開けました。」とある。
本物みたいなシャチ
これは、オリビアが本当にシャチの口に触れているかのような絵だ!まるで本物みたい!ヤンとオリビアは、明るい良く晴れた日にこのシャチの絵を仕上げている。雨でも降ろうものなら、チョークの絵がダメになってしまうので、運が良かったのかも!
ミスター・ポテトヘッド
ヤンとオリビアは、同じ通りに住む男の子が(コロナウイルスのために)誕生日に人を呼んでお誕生日会もできないと悲しんでいるのを聞いて、その子のためにこのミスター・ポテトヘッドの絵を完成させた。これはその子が大好きな映画「トイ・ストーリー」に出てくるキャラクターだが、その子の家の前に描いてあげたそうだ。
最近の流行も取り入れて
ヤンとオリビアがこのベビーヨーダを完成させたとき、このベビーヨーダが流行っていた。おそらくオリビアのアイデアでこのモチーフに決めたのだと思われるが、2人はいつもチョークアートに流行を取り入れている。
傑作
ヤンは娘と一緒に作品を作れたことにとても満足しているようだ。今や、彼女らが住む近所の通りは以前よりも明るくなったし、近隣住民との絆も深まっている。今後も2人で仲良くチョークアートを続けてほしいものだ。