ダイエットに流行があるように、衛生習慣にも流行り廃(すた)りがある。誰だって清潔に見せたいし、病気になりたくもない。ただ、「健康のために」行っているはずの衛生習慣が実は間違っていて、肌や歯、髪の毛にダメージを与えることもある。
綿棒からピーリング、トイレのハンドドライヤーなど、衛生用品はあたかもばい菌からあなたを守ってくれるかのように思わせている。だが、皮膚科医、歯科医など専門の医者によると、実はそうではないという。これからご紹介する「健康のため」のはずの衛生習慣に騙されてはならない。
綿棒を使って耳掃除するときの注意点
耳穴の掃除は必要ないことをご存知だろうか?ブランド・プロトニック博士によると、耳垢は耳を清潔に保つためにあるという。耳垢は塵の微粒子をくっつけてとらえたり、水が入るのを防いだり、外耳道が乾燥するのを防いだりする役割がある。にもかかわらず、ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ジェネラル・プラクティス(英国一般診療学会誌)の研究によると、68%もの人が綿棒で耳穴の掃除をしているという。
綿棒を使うことで耳垢を耳の奥へと押しやってしまう、と警告するのはアドバンスト・エント・アンド・アレルギー誌だ。このために耳の穴が耳垢でふさがれ、音が聞こえにくくなってしまうことにさえなりかねない。綿棒を使って清潔にしたいのであれば、耳の中ではなく、外側を拭くようにしよう。
毎日髪を洗わないで
もし毎日髪を洗っているのなら、それは洗いすぎだ。トニー&ガイのアーティスティック・ディレクターのフィリップ・ホーグは「頻繁に髪を洗いすぎると、髪の毛を保護する天然の油分がなくなってパサつくし、色もくすんでしまうんだ。」と言う。皮膚科医のパラディ・ミルミラニも、髪を毎日洗う必要はないと同意している。
ミルミラニ医師は、毎日髪の毛を洗うことで、実際には頭皮が乾燥してしまう、とも述べている。このために頭皮は皮脂をより多く分泌しようとし、結果的に髪の毛が汚れているように感じられる。髪の毛は週に2、3度洗えば十分だ。
ピーリングは毎日してはならない
ピーリング製品は角質を取り除くことで、その下の層にある新しく健康的な皮膚があらわれるという仕組みだ。しかし、だからといって毎日ピーリングをするのは危険だ。毎日ピーリングすると、肌の水分を守ってくれる層を破壊してしまう、とUCLAの皮膚科医エミリー・ニューサムは指摘する。結果的に肌は赤く、ヒリヒリしたり、吹き出物ができてしまう。
ニューサム博士は、ピーリングは週に1、2回とすることを推奨している。芸能人のエステを担当するルネー・ルーローは週に2、3回すると良いと述べている。いずれにせよ、肌が回復するようにピーリング後には1日以上空けるようにしよう。
スキンケアはやればやるほど良い、というわけではない
「12ステップのスキンケア習慣というのが人気ですが、だからといって、1、2ステップしかないスキンケアよりも良いというわけではありません。」と、皮膚科医ジョシュア・ツァイヒナーはトゥデイ誌に語っている。そして、複数のスキンケア商品を使うことで肌にダメージを与えてしまうと考えている皮膚科医はツァイヒナー医師だけではない。サイベル・フィッシュマン博士も、何ステップものスキンケアは肌に必要な皮脂まで洗い落とし、逆に肌を傷つけてしまうと警告している。
こうした過剰なスキンケアの結果、肌に過剰に水分を与えすぎたり、ヒリヒリしたりすることにつながる。エステティシャンのルネー・ルーローは、基礎化粧品の中でも最初の2ステップに使う製品だけで肌状態を改善することができると言う。つまり、複数のスキンケア商品にお金をかける必要はない。
ベッドを整える習慣にも健康上のリスクが…?
多くのインフルエンサーが、朝起きてすぐにベッドを整えることを推奨しているが、ある研究によると、それは健康的ではないと言う。2005年にイギリスの研究で、ベッドを整える、つまり布団で敷布団を覆うことによって、角質やダニ、ばい菌の温床となる可能性があることが報告されている。シーツの下には150万以上ものダニがいるが、敷布団を日の光をあてたり、乾燥させたりすることで、こうしたダニは死ぬのだという。
しかしながら、この研究結果に異議を唱える専門家もいる。結果として、布団には湿気がこもり、ばい菌は死なないのではないかというものだ。米国アレルギーぜんそく免疫学会のマイロン・ジット博士は、ベッドを整える前に、しっかりと布団を振って揺らすことを推奨している。
ペーパータオルよりも健康を害する恐れのあるハンドドライヤー
確かにトイレに備えつけのハンドドライヤーは環境保護に役立つが、健康に良いというわけではない。2018年、アメリカ微生物学会の研究でハンドドライヤーの健康上のリスクが明らかにされている。研究者らは、トイレを流すときに微生物も空気中に飛散されることを指摘している。ドライヤーは微生物が浮遊する空気を吸い込み、その風を人々の手に吹きかけているという。
手を洗うことでばい菌を洗い流すことができるが、濡れているときは気をつけなければならない、と指摘するのは、救急医療の専門家であるテレサ・ラッシュ-リターだ。というのも、手が濡れていると、ばい菌はより速く広がるからだ。そのため、使い捨てのタオルなどを使った方が健康のためには良いと言える。
食後でも歯磨きをしない方がいいとき
歯科医によると、ある特定の食べ物を食べた後は、歯を磨くタイミングとして最適ではないという。アメリカの一般的な歯磨き粉で知られるコルゲートは、歯のエナメル質を溶かしてしまうばい菌を出してしまうため、甘いものを食べた後に歯磨きすることを勧めている。ただし、柑橘類を食べた後に歯磨き粉を使うと、歯をさらにダメにするという。
朝ごはんの後に歯磨きをする習慣があるのなら、ちょっと待った方がいい。口腔保険財団は、食後30分から1時間後に歯磨きをすることを推奨している。その上、歯磨きは日に2度で良いとも。毎食後に歯磨きをする必要はないようだ。
シャワー時間が長すぎると…
シャワーの時間が長ければ長いほど、清潔になる気がするのではなかろうか?ただ、研究者らはそうではないと言う。米国皮膚病学会の皮膚科医ローレン・プローチは、水(湿気)のせいで洗顔クリームがダメになる可能性を指摘している。さらに、熱いお湯は肌を乾燥させる。
では、どのくらいであればシャワー時間が「長い」ということになるのだろうか。皮膚科医のイーラム・イリャスはインサイダーに対し、5分~15分くらいが最適だと言う。こんな風に考えてみよう。シャワーの時間が長ければ長いほど、皮膚から水分がより多く蒸発して出ていってしまう。結果として、肌は乾燥し、かゆみを伴い、炎症などを起こしやすくなる。
くしゃみは手ではなく、肘を曲げて
本能的に手で鼻を覆ってくしゃみをすると、ばい菌をまき散らす可能性がある、というのはアメリカ疾病管理予防センターだ。考えてもみよう。くしゃみをすると、何百万ものばい菌が手につく。そしてその手で机やパソコン、携帯電話などを触り、結果的に細菌をあちこちに付けていることになる。
オースティン・ヘルスの感染病棟部長のリンジー・グレイソンは、ティッシュを使うか肘を曲げてくしゃみをすることを推奨している。咳も同じことだ。口や鼻を手で覆ってくしゃみや咳をしてしまった後には、20秒以上かけて手を洗おう。
スポンジを清潔にしようとしてもムダだったり…
2017年、サイエンティフィック・リポーツの研究は、家の中で最も汚いところの1つに(1センチメートルあたりに何億もの細菌がいる)スポンジが挙げられると述べている。これを知った人の中には、「殺菌」のためにスポンジを電子レンジに入れる人もいる。だが、これは事態を悪化させている。
同誌の他の研究によると、スポンジを温めても殺菌できないばかりか、細菌を増やすことになっていると報告されている。スポンジを洗おうとしても、どういったわけか、あなたの努力をあざ笑うかのように細菌は素早く増殖する。数週間ごとに汚れたスポンジを交換しよう。
バスボム:きれいだが、健康には良くないかも
バスボム(入浴剤)は健康的なスキンケア製品として販売されているものの、実際には肌を傷つけてしまうものもある。皮膚科医のアロック・ヴィジは主な原材料である重曹とクエン酸は安全だという。しかし、香料や染料、保存料が使われている場合、肌が赤くなったり、かゆみがでたりすることもある。
「『天然成分』に騙されてはいけません。」とヴィジ医師はクリーブランド・クリニックに語っている。たとえ天然成分でも肌を傷つけることはある。たとえば、マンサクは肌を乾燥させることもあるし、ココアバターはイースト菌感染症を引き起こすこともある。一般的に、バブルバス(泡風呂)は肌のpHバランスや局部にいる細菌のバランスを崩すことがある。
手指消毒ジェルを手洗い代わりにしてはならない
手指消毒ジェルは便利だが、使ったからといって手を洗わないでいいわけではない。ラッシュ大学医療センターは手指消毒ジェルは手洗いほど効果的ではないと報告している。食品医薬品局(FDA)によると、抗菌剤を使いすぎることで菌耐性に繋がる恐れがあるという。ただ、そのエビデンスはまだ示されていない。
それでは手指消毒ジェルを捨てた方がいいのだろうか?アメリカ疾病管理予防センターは、手に目に見える汚れがついているときや化学薬品などに触れたときには手を洗うことを推奨している。その上、手を洗っても健康を害さない細菌は残るが、手指消毒ジェルではすべての細菌を殺菌してしまうという。
過剰な保湿をすると…
体を洗いすぎるのと同じように、肌を過剰に保湿することもありうる。乾燥した冬のせいで肌まで乾燥して困っているのであれば、化粧水を重ね塗りするのも有効だ、と皮膚科医のカレロイ・パパントニウは言う。しかし、脂性肌の人に化粧水をつけすぎるのはよくない。つけすぎることで、毛穴を詰まらせてしまうことがあるからだ。
化粧水をつけすぎることで、肌自身の持つ保湿力を弱めてしまうことがあると言うのは、皮膚科医のステファニー・ウィリアムズだ。その上、化粧水で角質が自然ととれるのまで妨いでしまうことがある。
皿を水につけておいたままにしてはならない
皿を洗う前につけておくことで、皿に残った食べかすなどは落としやすくなるかもしれないが、ばい菌を増殖させてしまうこともある。アリゾナ大学によると、大腸菌は流したばかりのトイレよりもキッチンのシンクの方が多いという。ばい菌がシンクにためられた水に入るとどうなるだろうか。そう、半端なく増殖する。
カーティン大学准教授バーバラ・ミュランによると、ばい菌は4日間生き延びることができるという。さらに15度以下という温度環境も、ばい菌が増殖するのに最適だとか。皿を洗う前につけておきたいのであれば、お湯で少しの間だけつけておこう。
お湯の温度を下げよう
確かにお湯はストレスを緩和し、筋肉を弛緩させるかもしれない。だが、熱すぎるお湯には注意が必要だ。皮膚科医のシャーリー・マーチベインによると、お湯は肌本来の持つ皮脂を流し落としてしまうという。これによって肌の水分が失われ、湿疹などの症状がある場合には特に、皮膚が傷ついてしまうこともある。
マーチベイン医師は、皮膚の外層にはばい菌を侵入させず、感染を予防する役割があるとも述べている。シャワーのお湯が熱すぎたり、長すぎたりする場合には、肌を弱めてしまう。髪にもよくない。熱すぎるお湯で髪は縮んだり、水分が抜けたりと、ダメージを受けやすくなると、皮膚科医のジェシカ・ワイザーは指摘している。
毎日ドライヤーを使う必要なし
毎日髪を洗う必要がないのと同じように、毎日髪をドライヤーで乾かす必要もない。クリーブランド・クリニックの医師マイケル・ロイゼンはバサル誌に対し、熱風をかけることで髪の中に含まれる水分が失われてしまうと語っている。髪に負担をかけることにもなり、切れ毛や枝毛、パサつきに繋がるという。
トライコロジスト協会の臨床部長キース・ホブズによると、ドライヤーで髪を乾かすのをできるだけ避け、熱風をかける前にある程度乾かしておいた方がいいという。ドライヤーの熱を下げるか、髪から15センチメートルほど離してドライヤーをあてよう。
スプレー缶を使うときの注意点
香水から芳香剤まで、スプレーすると自分自身や部屋が良い香りになる。だが、リラックスしようとするたびにスプレーしない方がいい。米国アレルギーぜんそく免疫学会は、多くのスプレーにはぜんそくや目まいを引き起こしかねない刺激性化学物質が含まれていると警告している。
中毒事故管理センターによると、芳香剤には揮発性有機化合物(VOC)が含まれており、大気汚染にも繋がりかねないという。芳香剤やヘアスプレー、香水を使った後に息がしづらいと感じたのであれば、揮発性有機化合物が含まれている可能性がある。たまに使うくらいがちょうどいいかもしれない。
鼻毛は抜かないで
鼻毛は空気中のほこりや微粒子、その他の汚染物質が肺に入らないように防いでくれている。こうした理由から鼻毛を抜く必要はないと言うのは、耳鼻咽喉科医のエーリヒ・ヴォイクトだ。たとえ、少しからまったような鼻毛が鼻から飛び出てしまっていたとしても、それは大きな微粒子を捕まえ、体に悪いものを体内に入れないようにするためなので、心配は無用だ。
汚染物質を捕まえてくれる鼻毛がない場合には、感染症などにかかるリスクが高くなる、とヴォイクト医師は語る。鼻に血液を送る血管は脳にも繋がっているため、鼻から病気の元を入れたくはないだろう。鼻毛を抜いてしまう代わりに、鼻毛カッターで鼻から飛び出てしまわないようにトリミングをするといい。
体を洗うスポンジの扱い方
体を洗うスポンジを製造する会社によると、風呂で体を洗うのに使うスポンジは、角質を落としてくれるという。しかし臨床微生物学誌の研究は、スポンジはばい菌の温床となっていることを明らかにしている。「暖かくて湿った状態にあるため、細菌や真菌の増殖に最適なのです。」と皮膚科医のステファニー・ウィリアムズは言う。
微生物学者のエスター・アンガートは、体を洗うスポンジの正しい扱い方を知っていれば健康問題は引き起こさないと述べている。シャワー室にスポンジを置いたままにしていると、昨日使った後の汚れを体中に塗りたくっているようなものだと同氏は指摘する。そのため、使用後は完全に乾かし、ニオイが気になるようになれば新しいものと交換しよう。
膣洗浄の危険性
医学情報サイトWebMDによると、アメリカ人女性の20%~40%が気になるニオイや妊娠を防ぐために膣洗浄を使用しているという。しかしながら、科学者らはこの膣洗浄の効果を支持するエビデンスはあまりなく、むしろ膣洗浄を使用すべきではないエビデンスは多いとしている。米国産婦人科医師会は女性に膣洗浄を使用しないように警告している。
というのも、膣洗浄によって膣内のpHバランスやばい菌のバランスを崩してしまう恐れがあるためだ。これによって、感染症や妊娠合併症、その他の病気にかかりやすくなってしまう恐れがある。2002年、研究者らは膣洗浄によって骨盤内炎症性疾患を発症させる可能性が73%も上昇すると報告している。
5秒ルールの悲しい事実
5秒ルール(食べ物を落としても5秒以内ならセーフ)を信じている人は、5秒以内ならばい菌がついていない、もしくは、たとえばい菌がついていても大丈夫な程度だと思っているのかもしれないが、実際にはそうではない。2006年、クレムゾン大学の科学者らはこの5秒ルールについて実験した。結果、食べ物が床に落ちた瞬間から、ばい菌でいっぱいになることが明らかになった。つまり、食べ物を床に落としてしまえば、わずか1秒だったとしても、それを口にするだけで健康面でリスクを冒しているのだ。
食べ物を床に落としてから時間が経てば経つほど、多くのばい菌がはびこることになる。5秒ルールはこうした面からもセーフだと言えるかもしれない。もちろん落とす場所にもよるが、床に落とした食べ物を一口食べるだけで病気になることはないだろう。
顔を洗うのに向いていない場所
シャワーを浴びるついでに顔を洗えば確かに時間を節約することができるが、多くの皮膚科医はこれに反対している。つまり、シャワーの温度は高すぎる上、水圧が強すぎて、水量も多すぎるというのがその理由だ。皮膚科医のハドリー・キングによると、顔の皮膚は長く水につけていると乾燥するという。そう、顔の皮膚は体の皮膚よりも敏感なのだ。
さらに、たいていの場合、シャワーの温度は高すぎて皮膚にダメージを与えてしまう。熱すぎるお湯は血管を拡張させ、さらには血管が破れることもある。温度と水圧を下げるのであれば、シャワー中に顔を洗っても問題ないと、キング医師は述べている。
こすって乾かさない
体を乾かすときに、ゴシゴシと拭いていないだろうか?「タオルで拭いている」という人はゴシゴシしていると言える。体を乾かすときには、タオルに優しく水分を移す感じでやるといい。急いでゴシゴシこすると肌を痛めつけてしまい、皮膚の乾燥に繋がる。
シャワーから出たときには、こすったりしないようにしよう。タオルをポンポンと肌に優しくあてるようにして、表面につく水分を取り除くだけだ。こうすることで必要な水分まで取ってしまわないで済む。髪も同じことだ。急いで髪をゴシゴシと乾かすと、枝毛や切れ毛が起きやすくなる。
「さっぱり洗顔」もしかしたら洗いすぎかも?
「ピカピカにする」という言葉は、カウンターや床にはピッタリだが、肌に使う言葉ではない。もしも肌を「ピカピカにする」ほど洗っているのであれば、それは洗いすぎだ。エステティシャンのアテナ・ヘウェットによると、顔を洗いすぎると乾燥し、カサカサになったり、赤味が出たり、吹き出物ができたりするという。結局、洗いすぎることで肌本来に備わっている皮脂までも洗い流してしまうのだ。
脂性肌の人にはさらに悪いことに、この肌をカサカサにしてしまうくらいの「さっぱり洗顔」は間違った洗顔料が原因かもしれないと、皮膚科医のロレッタ・シラルドは言う。「ニキビ予防の洗顔料によく見られます。」とアルーア誌に語っている。顔を洗いすぎているかもしれないと思うのであれば、こする時間を減らしたり、洗顔料を見直したりするといいだろう。
保湿はすぐに
体や顔を乾かしたら、ローションやクリームをすぐに塗った方がいい。熱いお湯でシャワーを浴びた後、濡れたように感じているかもしれないが、実は肌は乾燥している。さらに、ローションをすぐ塗ることで肌がすぐに吸収してくれるため、効果的だ。
「シャワーの後に塗ると、すぐに吸収してくれます。」と言うのは、美容皮膚科学部長のハイディ・ウォルドフだ。マウントサイナイ病院の院長は、皮膚にかゆみをもたらす可能性のある製品を使わず、無香料のローションを塗り、肌を保湿するよう推奨している。
体を洗うスポンジやタオルも洗うこと
体を洗うスポンジやタオルについては既出だが、さて、最後にそのスポンジやタオルを洗ったのはいつだろうか?数週間以上前だったりする?もしそうなら、どうにかしなければならない。石けんと違って、スポンジやタオルはすぐに汚れる。皮膚科医のセジャル・シャーによると、角質がスポンジやタオルにつき、それがばい菌を繁殖させるのだという。
一般的には、数週間ごとにスポンジやタオルを洗うといい。スポンジやタオルを洗濯機で洗ったり、石けんをつけて洗って絞ってもいい。研究者らは安全な量で希釈した漂白剤を使うことを推奨している。まだ使えるかどうか悩むくらいなら、新しいものと交換してしまおう。
石けん皿を捨ててしまおう
ほぼすべてのシャワー室に石けん皿は必ずあるが、肌の改善には役立たない。コロンビア大学の疫学部副学部長のエレイン・ラーソンはばい菌がはびこる石けんについて警鐘を鳴らしている。シャワー室に石けんを置いたままにするのは良くないのだとか。
ばい菌は石けんのヌルヌルした表面から、石けん皿に移って繫殖する。免疫不全でない限り、こうしたばい菌のせいで病気になることはないだろうが、石けんをシャワー室に置いたままではなく、乾燥した場所で保管するようにしよう。
冷水シャワーの効果
冷水シャワー。その言葉を聞いただけでも震えてしまいそうだ。だが、研究者らは冷水シャワーによって免疫系の働きを高めることができるという。2016年、学術雑誌のプロスワンに掲載された研究によると、冷水シャワーを浴びる人は病気になる可能性が29%も少ないことが明らかにされている。この研究の被験者は30~90秒間だけ冷水を浴びているという。
勢いよく冷水を浴びることで気分も改善できる。医学の仮説をまとめる学術誌メディカル・ハイポシーズの研究によると、冷水シャワーで神経伝達物質のエンドルフィンに対する感受性が高まるという。もしかするとこの反応は、うつ病を患う人に役立つかもしれない。こうした効果を得るには、わずか30秒の冷水シャワーでいいのだ。
カミソリをシャワー室に置いたままにしないこと
シャワー室の体を洗うスポンジやタオルがばい菌の温床となるのと同じように、カミソリにもばい菌がはびこる。「シャワー室にカミソリを置いたままにしておくと、頻繁に刃を交換しなければならなくなります。」と言うのは、ヴィーナスの皮膚科医ジョディ・レバインだ。温かくて湿った環境で、カミソリの刃もすぐに錆びついてしまう。
しかも、湿った刃はばい菌の温床となる。そのため、その刃を使って毛穴をあけると、感染の可能性がはるかに高くなる。これを防ぐためにも、カミソリの刃は使った後に乾かそう。シャワー室から出して、刃を上にしてから保管しよう。そうすると長持ちして、肌を傷つけることもない。
濡れた髪をタオルで巻くと…
米国皮膚病学会は、シャワーの後に髪をタオルで包むとダメージを与えてしまうかもしれない可能性について警告している。どうして?と思うかもしれないが、髪は濡れているとダメージを受けやすいのだ。そのため、誤った方法で髪をタオルでくるむことで切れ毛の原因となることもある。
髪をタオルで巻きたいのなら、あまりきつく巻かないようにしよう。薄手の柔らかいタオルを使うとダメージが少なくて済むだろう。少し髪が乾いた後にブラシでといてからタオルを巻くと、ダメージも少なくなる。
コンディショナーの正しい使い方
多くの人はコンディショナーを頭皮につけてから、髪の毛先にのばしていく。しかし、直接頭皮にコンディショナーをつけることで、頭皮がかゆくなる原因となることもある。カラリストのメリー・ケイト・オコナーは、こうすることで頭皮が脂っぽくなってしまうと指摘している。頭皮に元々油分があるところにオイルを足すとギトギトになってしまうのだ。
それでも米国皮膚病学会は、シャンプー後にコンディショナーを使うことを推奨している。オコナーはコンディショナーを最も乾燥している毛先につけてから、根元に広げていく方法を勧めている。
頻繁に浴室の掃除をしよう
最後に浴槽を洗ったのはいつだろうか?石けんを使っているにもかかわらず、浴槽やシャワー室はすぐに汚くなる。微生物学者のジェイソン・テトロは大腸菌のような有害な細菌はシャワー室で繁殖すると警告している。トゥデイ・ホームはシャワー室の湿度がカビの増殖を促進させるとも述べている。
テトロは浴槽を2週間に1度洗い、シャワーカーテンを毎週消毒することを勧めている。洗い終わったら、シャワー室のドアを開けておこう。こうすることで浴室を完全に乾かすことができるのだ。もちろん、トイレのドアも開けっ放しにしておこう。
運動の後にシャワーを浴びた方がいい理由とは…
運動して汗をかいた後のシャワーは、単にニオイのためだけでなく、感染症予防にもなる。ウィメンズヘルスのディレクターのホリー・フィリップスによると、汗をかいてからそのままにしておくと、ばい菌が繁殖するという。さらに、それが発疹や吹き出物を引き起こしたり、酷い場合にはブドウ球菌感染症に繋がったりする。
つまり、ときにはシャワーを浴びなかったとしても肌はダメージを受けない。汗をかいた後には服を着替えて、ベビーパウダーをふっておくと、シャワーを浴びなくても大丈夫だ。シャワーを浴びるときも、5分間ほど汗を流すだけでいい。
硬水でシャワーしない方がいい
軟水とは異なり、硬水にはカルシウムとマグネシウムが多く含まれている。米国地質調査所(USGS)によると、アメリカの85%の水が硬水だという。こうした化学物質が使っている石けんやシャンプーと化学反応を起こす可能性もある。カルシウムやマグネシウムが石けんに含まれる脂肪酸と反応すると、石けんの効果がなくなる恐れがある。
硬水はまた、髪にも影響する。からまりやすく、髪のコシがなくなる。ジムやホテルでシャワーを浴びた後にいつもと違うと感じたならば、もしかすると水が違うのかもしれない。硬水軟化剤を使えば、軟水に変えることができる。
足を清潔に!
石けんが足をつたって落ちただけでは、足は清潔にならない。そう、足をきれいに洗う必要があるのだ。「足にはたくさんのばい菌がついています。」とセルフ(SELF)に語るのは感染症専門家のアメシュ・アダルヤ博士だ。「こうしたばい菌のせいで足が臭くなるのです。」足にばい菌が繫殖したままでは、結果的に感染症にかかってしまうかもしれない。
アダルヤ博士によると、足を清潔にするには、スポンジやタオルを使ってばい菌を効果的に落としてしまうのが一番だという。定期的にこれをしないと、ブドウ球菌感染症にかかったり、イボができたり水虫になったりする。
ボディソープは洗顔用ではない
顔をボディソープで洗うのは便利かもしれないが、そのボディソープ、顔に使っても大丈夫だろうか?顔の皮膚は体のどの部分の皮膚よりも薄い。皮膚科医のレイチェル・ナザリアンによると、ボディソープは皮膚のpHバランスを崩すことがあるという。含まれるオイルで、本来肌に備わっている皮脂を劣化させることもある。
さらには、ボディソープを使うことで、肌がカサカサになったり、ヒリヒリしたり、または赤くなってしまうこともある。ボディソープと洗顔料が別々に販売されているのは、それなりの理由があるからだ。香料が皮膚にダメージを与えることもあるため、無香料の洗顔料を使うようにしよう。ボディソープを使わなければならない状況では、洗った後すぐに保湿しよう。
古くなったカミソリは捨てよう
何回か使った後のカミソリには、角質やばい菌がついている。切れにくくなった刃や錆びついた刃を使わない方がいい。鈍くなったカミソリの刃で皮膚を傷つけたり、吹き出物ができたり、さらには感染を広げてしまう可能性もある。皮膚科医のウィットニー・ボウは数回の使用ごとにカミソリの刃を交換することを勧めている。
さらに、ボウはカミソリの刃の切れ味を長持ちさせるコツを明かしている。石けんやシェービングクリームが少しでも残っていると刃が錆びてしまうため、使うたびにカミソリの刃をよく洗ってタオルで乾かした後、薬箱の入った棚など、乾燥した場所で保管しよう。
バスタオルが普通のタオルよりも柔らかい理由
なぜバスタオルは普通のタオルよりも柔らかいのだろうか?気持ちの良さだけが理由ではない。これは髪に与えるダメージを少なくするためだ。有名人のヘアスタイリストとして活躍するモネイ・エベレットは、一般的なタオルでは粗すぎて髪にダメージを与えると指摘している。
髪の毛は濡れているときに最もダメージを受けやすい。そのため、粗いタオルで髪をしぼると、毛幹に沿ってダメージを受け、からまりやすくなったり、縮れたりしてしまう、とエベレットは言う。バスタオルがないときには、マイクロファイバーのタオルやTシャツを使おう。髪を乾かすときには、ゴシゴシとせずに、ポンポンと軽く押さえつけるようにして優しく水分をとろう。
排水口に髪の毛を残したままにしてはいけない
確かに、排水口にたまっている髪の毛は気持ち悪い。そしてシャワーした後に抜けた髪の毛をそのままにしておくと、排水管が詰まってしまう。これは排水管だけでなく、健康にも問題を生じさせる。排水管が詰まると水の排水が悪くなり、結果として早くばい菌が集まってしまう。さらに、カビが生えてしまうと、シャワー室の床などのタイルがダメになってしまう。
排水口にカバーをすることで、髪の毛が排水管でからまって詰まるのを防いでくれる。シャワーの後に残っている髪の毛を拾って捨てるといい。気持ち悪くて触りたくないかもしれないが、そのままにしておくと問題は大きくなるだけだ。もし排水管が詰まったならば、排水管洗浄剤を買おう。
シャワーの水を出すときに顔を向けないこと
2009年、コロラド大学の研究者らは、3つの州でシャワーヘッドについて調査した。その結果、80%ものシャワーヘッドに肺疾患の原因となる感染性病原体マイコバクテリウムがついていることを明らかにした。シャワーヘッドが顔の方を向いているなら、ばい菌を顔で浴びていることになる。
ただし、この病原体は健康的な免疫系を持っている人にはさほど影響しない。だが、免疫力のない人や子ども、妊婦、高齢者にとっては、こうした病原体を寄せ付けなくするのは難しい。シャワーヘッドを頻繁に洗い、しばらく水を流してからシャワーを浴びよう。